避暑地の出来事
ウーマン・イン・ラブ
海外の雑誌やアート本が洋書店で並び、新しいカルチャーが賑わい始めた1980年代。
僕はそのカルチャーの洗礼を受けた。海外のデザインの情報も豊富に入手できるようになり
デザインの学びも増えて充実していった。
デザイン書籍とは別にPLAYBOY、PENTHOUSEなどの雑誌も身近にあり、
各号の真ん中に折り畳まれて入っていたポスターを何枚も部屋の壁に飾っていた。
男子なので当然、性的な魅力も感じていたのだが、肌の色、顔、髪の色、ポーズやスタイル、
シチュエーションを含め、とにかく全てが美しくてアート作品を見ているような感覚だった。
時は過ぎ30才になった頃、収集していた写真を久しぶりに眺めてみた。
ページをめくっていると1人の女性のポーズが目にとまった。
そのフォルムを紙に描き写し、カッターで切り抜いてみると何かの形に似ている...メガネだ!
次々と気になるポーズを紙に描いては切り抜いた。
メガネになる!そのメガネをかけた自分の顔を鏡で見て大爆笑した。おっ、おう、大発見!
女性の穴から覗き込むデザインも、何かを語っているようで気に入った。
これが「Woman in Love〜グラスシリーズ」の誕生の瞬間。
それから脚やバストなど様々なポーズを紙で切り抜いて立体に進化させて、
世界観を構築していった。ある人にこのグラスシリーズを推薦していただき
13種類を東京のセレクトショップ・シボネでクリスマスシーズン限定300セットで販売した。
グラスシリーズは完売。購入していただいた半数以上が女性という評価も嬉しかった。
夢中で紙を切り、折り曲げて、壊して、また作って、
好きな音楽を聴きながら流れる時間がとにかく楽しくて好きだ。
このシリーズを制作するときに訪れる特別な出会いや楽しいことは秘密(笑)。
僕にとって「Woman in Love」という究極のプライベート作品は、
好きな時にいつでも訪れることができる心の避暑地。
そこは永遠のパーフェクトアイランド。
Artist : Keisuke Unosawa
Art Director : Keisuke Unosawa
Graphic Designer : Keisuke Unosawa
Creative Agency : Venus Spring Inc.